忘れてはいけない。
それではもう日中だからみんなは立ってやすみ、食事《しょくじ》をしてよろしい。」
アラムハラドは礼《れい》をうけ自分もしずかに立ちあがりました。そして自分の室に帰る途中《とちゅう》ふとまた眼をつぶりました。さっきの美しい青い景色《けしき》がまたはっきりと見えました。そしてその中にはねのような軽《かる》い黄金いろの着物《きもの》を着た人が四人まっすぐに立っているのを見ました。
アラムハラドは急《いそ》いで眼をひらいて少し首をかたむけながら自分の室に入りました。
二
アラムハラドは子供らにかこまれながらしずかに林へはいって行きました。
つめたいしめった空気がしんとみんなのからだにせまったとき子供らは歓呼《かんこ》の声をあげました。そんなに樹《き》は高く深《ふか》くしげっていたのです。それにいろいろの太さの蔓《つる》がくしゃくしゃにその木をまといみちも大へんに暗《くら》かったのです。
ただその梢《こずえ》のところどころ物凄《ものすご》いほど碧《あお》いそらが一きれ二きれやっとのぞいて見えるきり、そんなに林がしげっていればそれほどみんなはよろこびまし
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