むりのようなはんけちを解《と》きました。それはとちの実《み》ぐらいあるまんまるの玉で、中では赤い火がちらちら燃《も》えているのです。
ひばりの母親がまた申《もう》しました。
「これは貝《かい》の火という宝珠《ほうじゅ》でございます。王さまのお言伝《ことづて》ではあなた様《さま》のお手入れしだいで、この珠《たま》はどんなにでも立派《りっぱ》になると申《もう》します。どうかお納《おさ》めをねがいます」
ホモイは笑《わら》って言《い》いました。
「ひばりさん、僕《ぼく》はこんなものいりませんよ。持《も》って行ってください。たいへんきれいなもんですから、見るだけでたくさんです。見たくなったら、またあなたの所《ところ》へ行きましょう」
ひばりが申《もう》しました。
「いいえ。それはどうかお納《おさ》めをねがいます。私どもの王からの贈物《おくりもの》でございますから。お納《おさ》めくださらないと、また私はせがれと二人で切腹《せっぷく》をしないとなりません。さ、せがれ。お暇《いとま》をして。さ。おじぎ。ご免《めん》くださいませ」
そしてひばりの親子は二、三|遍《べん》お辞儀《じぎ》をし
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