て、二|疋《ひき》の小鳥が降《お》りて参《まい》りました。
大きい方は、まるい赤い光るものを大事《だいじ》そうに草におろして、うやうやしく手をついて申《もう》しました。
「ホモイさま。あなたさまは私《わたし》ども親子の大恩人《だいおんじん》でございます」
ホモイは、その赤いものの光で、よくその顔を見て言《い》いました。
「あなた方は先頃《せんころ》のひばりさんですか」
母親のひばりは、
「さようでございます。先日はまことにありがとうございました。せがれの命《いのち》をお助《たす》けくださいましてまことにありがとう存《ぞん》じます。あなた様《さま》はそのために、ご病気《びょうき》にさえおなりになったとの事でございましたが、もうおよろしゅうございますか」
親子のひばりは、たくさんおじぎをしてまた申《もう》しました。
「私どもは毎日この辺《へん》を飛《と》びめぐりまして、あなたさまの外へお出なさいますのをお待《ま》ちいたしておりました。これは私どもの王からの贈物《おくりもの》でございます」と言《い》ながら、ひばりはさっきの赤い光るものをホモイの前に出して、薄《うす》いうすいけ
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