みんなはおうちにはいりました。
 鳥は、ゆかや棚《たな》や机《つくえ》や、うちじゅうのあらゆる場所《ばしょ》をふさぎました。梟《ふくろう》が目玉を途方《とほう》もない方に向《む》けながら、しきりに「オホン、オホン」とせきばらいをします。
 ホモイのお父さんがただの白い石になってしまった貝《かい》の火を取りあげて、
 「もうこんなぐあいです。どうかたくさん笑《わら》ってやってください」と言《い》うとたん、貝《かい》の火は鋭《するど》くカチッと鳴って二つに割《わ》れました。
 と思うと、パチパチパチッとはげしい音がして見る見るまるで煙《けむり》のように砕《くだ》けました。
 ホモイが入口でアッと言《い》って倒《たお》れました。目にその粉《こな》がはいったのです。みんなは驚《おどろ》いてそっちへ行こうとしますと、今度《こんど》はそこらにピチピチピチと音がして煙《けむり》がだんだん集《あつ》まり、やがて立派《りっぱ》ないくつかのかけらになり、おしまいにカタッと二つかけらが組み合って、すっかり昔《むかし》の貝《かい》の火になりました。玉はまるで噴火《ふんか》のように燃《も》え、夕日《ゆうひ》の
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