ようにかがやき、ヒューと音を立てて窓《まど》から外の方へ飛《と》んで行きました。
鳥はみんな興《きょう》をさまして、一人|去《さ》り二人|去《さ》り今はふくろうだけになりました。ふくろうはじろじろ室《へや》の中を見まわしながら、
「たった六日《むいか》だったな。ホッホ
たった六日だったな。ホッホ」
とあざ笑《わら》って、肩《かた》をゆすぶって大股《おおまた》に出て行きました。
それにホモイの目は、もうさっきの玉のように白く濁《にご》ってしまって、まったく物が見えなくなったのです。
はじめからおしまいまでお母さんは泣《な》いてばかりおりました。お父さんが腕《うで》を組んでじっと考えていましたが、やがてホモイのせなかを静《しず》かにたたいて言《い》いました。
「泣《な》くな。こんなことはどこにもあるのだ。それをよくわかったお前は、いちばんさいわいなのだ。目はきっとまたよくなる。お父さんがよくしてやるから。な。泣《な》くな」
窓《まど》の外では霧《きり》が晴《は》れて鈴蘭《すずらん》の葉《は》がきらきら光り、つりがねそうは、
「カン、カン、カンカエコ、カンコカンコカン」と
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