みんな泣《な》いていました。雀《すずめ》や、かけすや、うぐいすはもちろん、大きな大きな梟《ふくろう》や、それに、ひばりの親子までがはいっているのです。
ホモイのお父さんは蓋《ふた》をあけました。
鳥がみんな飛《と》び出して地面《じめん》に手をついて声をそろえて言《い》いました。
「ありがとうございます。ほんとうにたびたびおかげ様《さま》でございます」
するとホモイのお父さんが申《もう》しました。
「どういたしまして、私どもは面目《めんもく》次第《しだい》もございません。あなた方の王さまからいただいた玉《たま》をとうとう曇《くも》らしてしまったのです」
鳥が一|遍《ぺん》に言《い》いました。
「まあどうしたのでしょう。どうかちょっと拝見《はいけん》いたしたいものです」
「さあどうぞ」と言《い》いながらホモイのお父さんは、みんなをおうちの方へ案内《あんない》しました。鳥はぞろぞろついて行きました。ホモイはみんなのあとを泣《な》きながらしょんぼりついて行きました。梟《ふくろう》が大股《おおまた》にのっそのっそと歩きながら時々こわい眼《め》をしてホモイをふりかえって見ました。
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