ひら》いて見ました。
するとお父さんはびっくりしてしまいました。貝《かい》の火が今日ぐらい美《うつく》しいことはまだありませんでした。それはまるで赤や緑《みどり》や青や様々《さまざま》の火がはげしく戦争《せんそう》をして、地雷火《じらいか》をかけたり、のろしを上げたり、またいなずまがひらめいたり、光の血《ち》が流《なが》れたり、そうかと思うと水色の焔《ほのお》が玉の全体《ぜんたい》をパッと占領《せんりょう》して、今度《こんど》はひなげしの花や、黄色のチュウリップ、薔薇《ばら》やほたるかずらなどが、一面《いちめん》風にゆらいだりしているように見えるのです。
兎《うさぎ》のお父さんは黙《だま》って玉をホモイに渡《わた》しました。ホモイはまもなく涙《なみだ》も忘《わす》れて貝《かい》の火をながめてよろこびました。
おっかさんもやっと安心《あんしん》して、おひるのしたくをしました。
みんなはすわって角《かく》パンをたべました。
お父さんが言《い》いました。
「ホモイ。狐《きつね》には気をつけないといけないぞ」
ホモイが申《もう》しました。
「お父さん、大丈夫《だいじょうぶ》です
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