。狐《きつね》なんかもうこわくもなんともないや。おっかさん。僕《ぼく》ね、りすさんを少将《しょうしょう》にするよ。馬はね、馬は大佐《たいさ》にしてやろうと思うんです」
おっかさんが笑《わら》いながら、
「そうだね、けれどもあんまりいばるんじゃありませんよ」と申《もう》しました。
ホモイは、
「大丈夫《だいじょうぶ》ですよ。おっかさん、僕《ぼく》ちょっと外へ行って来ます」と言《い》ったままぴょんと野原へ飛《と》び出しました。するとすぐ目の前をいじわるの狐《きつね》が風のように走って行きます。
ホモイはぶるぶる顫《ふる》えながら思い切って叫《さけ》んでみました。
「待《ま》て。狐《きつね》。僕《ぼく》は大将《たいしょう》だぞ」
狐《きつね》がびっくりしてふり向《む》いて顔色を変《か》えて申《もう》しました。
「へい。存《ぞん》じております。へい、へい。何かご用でございますか」
ホモイができるくらい威勢《いせい》よく言《い》いました。
「お前はずいぶん僕《ぼく》をいじめたな。今度《こんど》は僕《ぼく》のけらいだぞ」
狐《きつね》は卒倒《そっとう》しそうになって、頭に手を
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