あげて答えました。
「へい、お申《もう》し訳《わけ》もございません。どうかお赦《ゆる》しをねがいます」
ホモイはうれしさにわくわくしました。
「特別《とくべつ》に許《ゆる》してやろう。お前を少尉《しょうい》にする。よく働《はたら》いてくれ」
狐《きつね》が悦《よろこ》んで四遍《よんへん》ばかり廻《まわ》りました。
「へいへい。ありがとう存《ぞん》じます。どんな事《こと》でもいたします。少しとうもろこしを盗《ぬす》んで参《まい》りましょうか」
ホモイが申《もう》しました。
「いや、それは悪《わる》いことだ。そんなことをしてはならん」
狐《きつね》は頭を掻《か》いて申《もう》しました。
「へいへい。これからは決《けっ》していたしません。なんでもおいいつけを待《ま》っていたします」
ホモイは言《い》いました。
「そうだ。用があったら呼《よ》ぶからあっちへ行っておいで」狐《きつね》はくるくるまわっておじぎをして向《む》こうへ行ってしまいました。
ホモイはうれしくてたまりません。野原を行ったり来たりひとりごとを言《い》ったり、笑《わら》ったりさまざまの楽《たの》しいことを
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