きたくありません。)
須利耶さまはお笑いになりました。
(勿論《もちろん》だ。この人の大きな旅《たび》では、自分だけひとり遠い光の空へ飛び去《さ》ることはいけないのだ。)
(いいえ、お父さん。私はどこへも行きたくありません。そして誰もどこへも行かないでいいのでしょうか。)とこう云う不思議《ふしぎ》なお尋ねでございます。
(誰もどこへも行かないでいいかってどう云うことだ。)
(誰もね、ひとりで離《はな》れてどこへも行かないでいいのでしょうか。)
(うん。それは行かないでいいだろう。)と須利耶さまは何の気もなくぼんやりと斯うお答えでした。
そしてお二人は町の広場を通り抜けて、だんだん郊外《こうがい》に来られました。沙《すな》がずうっとひろがっておりました。その砂《すな》が一ところ深《ふか》く掘られて、沢山《たくさん》の人がその中に立ってございました。お二人も下りて行かれたのです。そこに古い一つの壁がありました。色はあせてはいましたが、三人の天の童子たちがかいてございました。須利耶さまは思わずどきっとなりました。何か大きい重《おも》いものが、遠くの空からばったりかぶさったように思われまし
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