ぐにおうちにかえった。
それから勿論《もちろん》小麦も搗《つ》いた。
二人で小麦を粉にするときは僕はいつでも見に行った。小麦を粉にする日ならペムペルはちぢれた髪《かみ》からみじかい浅黄《あさぎ》のチョッキから木綿《もめん》のだぶだぶずぼんまで粉ですっかり白くなりながら赤いガラスの水車場でことことやっているだろう。ネリはその粉を四百グレンぐらいずつ木綿の袋《ふくろ》につめ込《こ》んだりつかれてぼんやり戸口によりかかりはたけをながめていたりする。
そのときぼくはネリちゃん。あなたはむぐらはすきですかとからかったりして飛んだのだ。それからもちろんキャベジも植えた。
二人がキャベジを穫《と》るときは僕はいつでも見に行った。
ペムペルがキャベジの太い根を截《き》ってそれをはたけにころがすと、ネリは両手でそれをもって水いろに塗《ぬ》られた一輪車に入れるのだ。そして二人は車を押《お》して黄色のガラスの納屋《なや》にキャベジを運んだのだ。青いキャベジがころがってるのはそれはずいぶん立派だよ。
そして二人はたった二人だけずいぶんたのしくくらしていた。」
「おとなはそこらに居なかったの。」わた
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