黄いろのトマト
宮沢賢治
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【テキスト中に現れる記号について】
《》:ルビ
(例)戸棚《とだな》
|:ルビの付く文字列の始まりを特定する記号
(例)四|疋《ひき》
[#]:入力者注 主に外字の説明や、傍点の位置の指定
(例)[#地から3字上げ]
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[#地から3字上げ]博物局十六等官
[#地から1字上げ]キュステ誌
私の町の博物館の、大きなガラスの戸棚《とだな》には、剥製《はくせい》ですが、四|疋《ひき》の蜂雀《はちすずめ》がいます。
生きてたときはミィミィとなき蝶《ちょう》のように花の蜜《みつ》をたべるあの小さなかあいらしい蜂雀です。わたくしはその四疋の中でいちばん上の枝《えだ》にとまって、羽を両方ひろげかけ、まっ青なそらにいまにもとび立ちそうなのを、ことにすきでした。それは眼《め》が赤くてつるつるした緑青《ろくしょう》いろの胸をもち、そのりんと張った胸には波形のうつくしい紋《もん》もありました。
小さいときのことですが、ある朝早く、私は学校に行く前にこっそり一寸《ちょっと》ガラスの前に立ちましたら、その蜂雀が、銀の針の様なほそいきれいな声で、にわかに私に言い
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