景色《けしき》だの見て来ることだの話した。
津軽海峡《つがるかいきょう》、トラピスト、函館《はこだて》、五稜郭《ごりょうかく》、えぞ富士《ふじ》、白樺《しらかば》、小樽《おたる》、札幌の大学、麦酒《ビール》会社、博物館《はくぶつかん》、デンマーク人の農場《のうじょう》、苫小牧《とまこまい》、白老《しらおい》のアイヌ部落《ぶらく》、室蘭《むろらん》、ああ僕《ぼく》は数《かぞ》えただけで胸《むね》が踊《おど》る。五時間目には菊池《きくち》先生がうちへ宛《あ》てた手紙を渡《わた》して、またいろいろ話された。武田先生と菊池先生がついて行かれるのだそうだ。
行く人が二十八人にならなければやめるそうだ。それは県《けん》の規則《きそく》が全級《ぜんきゅう》の三分の一|以上《いじょう》参加《さんか》するようになってるからだそうだ。けれども学校へ十九円|納《おさ》めるのだしあと五円もかかるそうだから。きっと行けると思う人はと云ったら内藤《ないとう》君や四人だけ手をあげた。みんな町の人たちだ。うちではやってくれるだろうか。父が居《い》ないので母へだけ話したけれども母は心配《しんぱい》そうに眼《め》をあげた
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