と大声でそのきれいさを叫《さけ》んだかも知れない。僕は却《かえ》ってたんぽぽの毛のほうを好きだ。夕陽《ゆうひ》になんか照《て》らされたらいくら立派だか知れない。
今日の実習は陸稲播《おかぼま》きで面白《おもしろ》かった。みんなで二うねずつやるのだ。ぼくは杭《くい》を借《か》りて来て定規《じょうぎ》をあてて播いた。種子《しゅし》が間隔《かんかく》を正しくまっすぐになった時はうれしかった。いまに芽《め》を出せばその通り青く見えるんだ。学校の田のなかにはきっとひばりの巣《す》が三つ四つある。実習している間になんべんも降《お》りたのだ。けれども飛《と》びあがるところはつい見なかった。ひばりは降りるときはわざと巣からはなれて降りるから飛びあがるとこを見なければ巣のありかはわからない。
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一千九百二十五年五月六日
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今日学校で武田《たけだ》先生から三年生の修学旅行《しゅうがくりょこう》のはなしがあった。今月の十八日の夜十時で発《た》って二十三日まで札幌《さっぽろ》から室蘭《むろらん》をまわって来るのだそうだ。先生は手に取《と》るように向《むこ》うの
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