ないので明日もやっぱり実習だという。午后《ごご》はみんなでテニスコートを直《なお》したりした。
[#ここで字下げ終わり]


四月二日 水曜日 晴
[#ここから1字下げ]
今日は三年生は地質《ちしつ》と土性《どせい》の実習だった。斉藤《さいとう》先生が先に立って女学校の裏《うら》で洪積層《こうせきそう》と第《だい》三|紀《き》の泥岩《でいがん》の露出《ろしゅつ》を見てそれからだんだん土性を調《しら》べながら小船渡《こぶなと》の北上《きたかみ》の岸《きし》へ行った。河《かわ》へ出ている広い泥岩の露出で奇体《きたい》なギザギザのあるくるみの化石《かせき》だの赤い高師小僧《たかしこぞう》だのたくさん拾《ひろ》った。それから川岸を下って朝日橋《あさひばし》を渡《わた》って砂利《じゃり》になった広い河原《かわら》へ出てみんなで鉄鎚《かなづち》でいろいろな岩石の標本《ひょうほん》を集《あつ》めた。河原からはもうかげろうがゆらゆら立って向《むこ》うの水などは何だか風のように見えた。河原で分れて二時|頃《ごろ》うちへ帰った。
そして晩《ばん》まで垣根《かきね》を結《ゆ》って手伝《てつだ》った。あしたは
前へ 次へ
全31ページ中4ページ目


小説の先頭へ
文字数選び直し
宮沢 賢治 の一覧に戻る
作家の選択に戻る
◆作家・作品検索◆
トップページ 登録 ご利用方法 ログイン
携帯用掲示板レンタル
携帯キャッシング