く私を見て訊《たず》ねました。
「私は于※[#もんがまえに真の正字。読みは「タン」]大寺を沙《すな》の中から掘《ほ》り出した青木晃《あおきあきら》というものです。」
「何しに来たんだい。」少しの顔色もうごかさずじっとрフ瞳を見ながらその子はまたこう云いました。
「あなたたちと一緒にお日さまをおがみたいと思ってです。」
「そうですか。もうじきです。」三人は向うを向きました。瓔珞は黄や橙《だいだい》や緑《みどり》の針《はり》のようなみじかい光を射《い》、羅は虹《にじ》のようにひるがえりました。
そして早くもその燃え立った白金のそら、湖の向うの鶯《うぐいす》いろの原のはてから熔《と》けたようなもの、なまめかしいもの、古びた黄金、反射炉《はんしゃろ》の中の朱《しゅ》、一きれの光るものが現《あら》われました。
天の子供らはまっすぐに立ってそっちへ合掌《がっしょう》しました。
それは太陽でした。厳《おごそ》かにそのあやしい円《まる》い熔けたようなからだをゆすり間もなく正しく空に昇《のぼ》った天の世界の太陽でした。光は針や束《たば》になってそそぎそこらいちめんかちかち鳴りました。
天の子供らは夢中《
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