ども》らを見ました。それはみな霜《しも》を織《お》ったような羅《うすもの》[※15]をつけすきとおる沓《くつ》をはき私の前の水際《みずぎわ》に立ってしきりに東の空をのぞみ太陽《たいよう》の昇《のぼ》るのを待《ま》っているようでした。その東の空はもう白く燃《も》えていました。私は天の子供らのひだのつけようからそのガンダーラ系統《けいとう》なのを知りました。またそのたしかに于《コウ》※[#もんがまえに真の正字。読みは「タン」]大寺の廃趾《はいし》から発掘《はっくつ》された壁画《へきが》の中の三人なことを知りました。私はしずかにそっちへ進《すす》み愕《おどろ》かさないようにごく声|低《ひく》く挨拶《あいさつ》しました。
「お早う、于※[#もんがまえに真の正字。読みは「タン」]大寺の壁画の中の子供さんたち。」
三人|一緒《いっしょ》にこっちを向きました。その瓔珞のかがやきと黒い厳《いか》めしい瞳。
私は進みながらまた云《い》いました。
「お早う。于※[#もんがまえに真の正字。読みは「タン」]大寺の壁画の中の子供さんたち。」
「お前は誰《だれ》だい。」
右はじの子供がまっすぐに瞬《またたき》もな
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