、ならしてアメリカに売る商売なんだ、こわいさうだよ。」
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田園紳士 一、山猫博士と握手する。
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「いや、今晩は。先日は失礼いたしました。」
山猫博士、「どうです、カンヤヒャウ問題もいよいよ落着ですな。」
紳士「えゝ、どうも大へんに不利なことになりました。」
(紳士云ひながらガラスのコップを二つ取ってファゼロとキュステに渡す。
 紳士教師のコップに藁酒をつぐ。)
「あなたには何をあげませう。」
キュステ、「さうだね、葡萄水をおくれ。」
給仕「さうですか、坊ちゃんも。」
ファゼロ「うん。」給仕注ぐ。
(山猫博士、紳士と盃を合せ、酒をなめ横眼で二人を見ながら云ふ)「どうも水を呑むやつらが来ると広場も少ししらぱっくれるね。」
紳士四「えゝ、何せまだ子供ですから、それにそちらはたぶんカトリックの信者でいらっしゃいますから。」
山猫博士、「あゝ、カトリックですか。私も祖父がきついカトリックでしたがね。どうもいかんね、カトリックは。おい注いでくれ。」
(オーケストラはじまる。)
山猫博士「おいおいそいつでなしにキャッツホヰスカアといふやつをやってもらひた
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