になつてどなりました。
「のろづきおほん、
おほん、おほん、
ごぎのごぎおほん、
おほん、おほん。」
かしはの木大王が眉《まゆ》をひそめて云ひました。
「どうもきみたちのうたは下等ぢや。君子のきくべきものではない。」
ふくろふの大将はへんな顔をしてしまひました。すると赤と白の綬《じゆ》をかけたふくろふの副官が笑つて云ひました。
「まあ、こんやはあんまり怒らないやうにいたしませう。うたもこんどは上等のをやりますから。みんな一しよにをどりませう。さあ木の方も鳥の方も用意いゝか。
おつきさんおつきさん まんまるまるゝゝん
おほしさんおほしさん ぴかりぴりるゝん
かしははかんかの かんからからゝゝん
ふくろはのろづき おつほゝゝゝゝゝん。」
かしはの木は両手をあげてそりかへつたり、頭や足をまるで天上に投げあげるやうにしたり、一生けん命踊りました。それにあはせてふくろふどもは、さつさつと銀いろのはねを、ひらいたりとぢたりしました。じつにそれがうまく合つたのでした。月の光は真珠のやうに、すこしおぼろになり、柏の木大王もよろこんですぐうたひました。
「雨はざあざあ ざつざ
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