のである。直径三十五ミリばかりの大きな筒が五つ並べてあつて、ガラ/\と車を廻《まは》すと、五発づつ一緒に弾がとび出すやうにしかけてあるが、二十五発|毎《ごと》、つまり車を五|度《たび》まはすたびに弾ごめしなけりやならない厄介なもので、発射の速さからも、そのとゞく距離からいつても、今の機関砲には遠く及ばないけれど、その頃ではすばらしい有力な武器であつた。
さすがに上村少佐もこれには感心した。が、同時にすぐ気がついた。
「まてよ、敵方プロシヤにはどんな武器があるだらうか。しきりにこちらに向かつて、戦争を吹きかけてゐるやうだから、武器の上にも、何か頼むところがあるにちがひない。これは一つ、戦争が始る前にプロシヤへ行つて、調べてみなけりやならんぞ。或《あるひ》はミトライユにもまさる有力な武器があるかもしれないからな。」
そこで上村少佐はすぐプロシヤに行つて、その軍隊の小銃や大砲を見たり、又兵器製造所を見せてもらつたりした。
果して、少佐の考へは当つてゐた。ミトライユのやうな特別なものはなかつた。けれども普通に使つてゐるプロシヤの兵器は、大砲小銃ともに、なか/\すぐれたもので、特に大砲はフ
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