「どうぞ、お祝ひは、もとのとほり、つゞけておやり下《くだ》さい。私が参つて、まあ一つ、何とかやつてみませうから。」
みんなは、七色の虹猫の勇気があつて、落ちついてゐるのに、たいへん、びつくりしました。けれども、お祝ひが途中で邪魔をされないだらうといふので、よろこんで、そこに集まり、そのときには、もう遠くにはつきり聞える雷様のごろ/\いふ声をきゝながら、その方へ、ずん/\走つて行く、七色の虹猫を見てゐました。
七色の虹猫は、走つて行くと、もうはるか向うに大きな雷様の姿を見つけたのでそこに立ちどまつて、袋を開け、中から一枚の大きなマントを引き出して、それを着、頭の上から、耳まで、すつぽりと頭巾《づきん》をかぶり、そこに坐《すわ》つて何やら深い思案にふけつてゐるやうなふうをしました。
雷様は、このふしぎな姿をしたものが、天の道の中ほどにゐるところまでくると、そこに立ち止まりました。
「おい。きさまは何者だ、又こゝにゐて何をしてゐるんだ。」と、大きな声でどなりました。
「私《わたし》かい。私は有名な魔術師ニヤンプウ子《し》だ。」と、七色の虹猫は、いかめしい、もつたいらしい、作り声で答へ
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