て出ました。むろん、花嫁の両親、魔法島の王とその真珠貝の妃《きさき》とはそこに出席しました。
御馳走《ごちそう》がでて、みんながにぎやかに、面白く喰《た》べたり、飲んだりして、話してゐるまつ最中、そこへあたふたと飛びこんで来たのは燕《つばめ》でした。その話によると、大男の雷様が、えらい勢ひで、こつちをさして走つてくる。なんでも、貿易風が大急ぎで通るとき、ひよつと、雷様の寝てゐた足のさきにけつまづいたから、すつかり怒らしてしまつたんだといふことでした。
「それはまあ、どうしたらいゝだらう。」と、誰《だれ》もかれも青くなつて、口々に言ひました。「お祝ひもめちやめちやに荒らされつちまふだらう。」
そして、お客様も主人も、あわてゝ、ちり/″\に逃げ出しました。
けれども、七色の虹猫は落ちつきはらつてゐました。この猫はなか/\智慧《ちゑ》があつたのです。
猫は、そつとひとり、テイブルの下にもぐりこみ、そのもつて来た小さな袋を開けて、中のものをあらためながら、ぢつと考へてをりました。
が、間もなく、出て来ました。
「どうにか、私が雷様を来させないやうにしてみませう。」と、猫は申しました。
前へ
次へ
全10ページ中4ページ目
小説の先頭へ
文字数選び直し
宮原 晃一郎 の一覧に戻る
作家の選択に戻る
◆作家・作品検索◆
トップページ
登録
ご利用方法
ログイン
携帯用掲示板レンタル
携帯キャッシング