て出ました。むろん、花嫁の両親、魔法島の王とその真珠貝の妃《きさき》とはそこに出席しました。
 御馳走《ごちそう》がでて、みんながにぎやかに、面白く喰《た》べたり、飲んだりして、話してゐるまつ最中、そこへあたふたと飛びこんで来たのは燕《つばめ》でした。その話によると、大男の雷様が、えらい勢ひで、こつちをさして走つてくる。なんでも、貿易風が大急ぎで通るとき、ひよつと、雷様の寝てゐた足のさきにけつまづいたから、すつかり怒らしてしまつたんだといふことでした。
「それはまあ、どうしたらいゝだらう。」と、誰《だれ》もかれも青くなつて、口々に言ひました。「お祝ひもめちやめちやに荒らされつちまふだらう。」
 そして、お客様も主人も、あわてゝ、ちり/″\に逃げ出しました。
 けれども、七色の虹猫は落ちつきはらつてゐました。この猫はなか/\智慧《ちゑ》があつたのです。
 猫は、そつとひとり、テイブルの下にもぐりこみ、そのもつて来た小さな袋を開けて、中のものをあらためながら、ぢつと考へてをりました。
 が、間もなく、出て来ました。
「どうにか、私が雷様を来させないやうにしてみませう。」と、猫は申しました。
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