せたり、又軽いボートにのつて、帆をかけたりします。空の中に住まつてゐるので、たつた一人、恐《こは》いものは、雷様だけです。何しろ、雷様ときては、怒りつぽく、よく空をごろ/\と、足をふみ鳴らして、雲の人たちの家を叩《たた》きまはるからむりもないわけです。

 雲の人たちは、七色の虹猫がたづねてくれたのを大へんよろこんで、ていねいに挨拶《あいさつ》しました。
「まあ、ちやうどいゝところへお出《い》でなすつた。」と、雲の人たちは言ひました。「じつは、風の神さんのおうちで、大きなお祝ひがあるのですよ。それは、あすこの一番うへの息子《むすこ》の北の風さんが、今日、魔法の島の王様のお姫様をお嫁さんにお迎へなさるんです。」
 七色の虹猫は、こんなこともあらうかと、ちやんと尻尾のさきの袋に、いろ/\の品物を用意してきたのでした。
 ほんとに、びつくりするほどの立派な御婚礼だつたのです。
 誰《だれ》もかれも、みんなやつて来ました。お客様のうちには、慧星《はうきぼし》も見えました。よつぽどりつぱな宴会でなければ、めつたに出たことのない慧星が見えたのです。
 又北極光も、何とも言へない、美しい光りの服を着
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