》のある猫ですから、かう聞かれると、すぐいゝ考へがうかびました。
「それはどうも、お困りだらうね。」と、いつて、長いひげを二三度ひねりました。「むろんぼくは、喜んで、きみのお助けをしよう。もつとも、なか/\面倒なことだがね。」
「さうとも、なか/\面倒なので、ぼくはもう弱つてるんだ。」
「一たい、いつ頃までに、その材料が手にはいればいゝのかね。」
「どんなに遅くとも、今晩までに手に入らなけりやいけないのだ。」
「よし。できるだけのことを、やつてみよう。」と、虹猫は言ひました。「ぼくに二つの考へがある。まあ、そんなに心配し給《たま》ふな。今夜、こゝへ来給《きたま》へ。ぼくがちやんとしておくから。」
 木精の頭《かしら》は、これですつかり安心して、帰りました。非常に火急な場合に、何か助けになることを考へてくれるといふのですから、虹猫が、大へんかしこい、深切なひとのやうに思はれました。
 きつちり十二時に、虹猫は、その青黒い目玉をいき/\と、かゞやかしながら、木精の頭に会ひました。
「ぼく、二三ヶ所、心当りをさぐつてみたが、」と、虹猫はいひました。「もつとしつかり確かめなけりやいけないんだ。
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