虹猫と木精
宮原晃一郎

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【テキスト中に現れる記号について】

《》:ルビ
(例)お家《うち》

[#]:入力者注 主に外字の注記や傍点の位置の指定
(例)風がはりなたち[#「たち」に傍点]

/\:二倍の踊り字(「く」を縦に長くしたような形の繰り返し記号)
(例)じめ/\
*濁点付きの二倍の踊り字は「/″\」
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 第一回の旅行をすまして、お家《うち》へ帰つた虹猫《にじねこ》は、第二回の旅行にかゝりました。
 或日《あるひ》、れいのとほり、仕度をして、ぶらりと家《うち》を出て、どことはなしに、やつて行きますと、とうとう木精《こだま》の国に来てしまひました。木精といふやつは面白い、愉快な妖精《えうせい》で、人に害をするやうなこともなく、たゞ鳥のやうに木にすまつてゐるのです。けれども鳥とちがつて、飛ぶことはできないのです。もつとも、鳥とはだいの仲よしで、鳥の言葉がよくわかりますから、郵便や電信などによらないで、おたがひに通信ができるのでした。

 冬になりますと、木精は木からうつゝて、地の下の穴の中に入るのです。何しろ、はれ/″\とした木の上から、じめ/\して、きたならしい土の
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