みえて、なか/\明るいところへ出ません。そのうちにとう/\夜があけてしまひました。
 一番がけに眼《め》をさましたのは、孫の巨人です。直《す》ぐに虫はどこにゐるかと、入れて置いた蒲団の中をみますけれども、二匹とも影も形もありません。
「あゝおぢいさん、大変だよ/\、大事の/\西瓜の虫がゐなくなつちやつた。」
 孫は眼から拳骨《げんこつ》のやうな大きな涙をパラ/\と流して、泣き出しました。
 するとおぢいさんの巨人は、
「よし/\泣くんぢやない/\。どこかそこいらに匐《は》ひ出してゐるだらうから、俺《わし》が捜してやる。」と、言つて、蒲団をすつかり取り除《の》けますと、一里も先に逃げのびた筈《はず》の二人は、まだ裾《すそ》の辺《あたり》にうろ/\してをりました。大変広い蒲団であつたと見えます。
「それ見なさい。」と、おぢいさんの巨人は直ぐに、二人をつかまへて、掌にのせて、孫の巨人の顔の前へ差し出しました。「この通りゐたぢやないか? もう泣きなさんなよ。」
「あゝゐた/\。有難い/\。もうお前|達《たち》、無暗《むやみ》とあるきまはるのではないよ。もし俺《わし》が寝返りでもした時、圧《お》
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