漁師の冒険
宮原晃一郎
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【テキスト中に現れる記号について】
《》:ルビ
(例)いつの頃《ころ》
|:ルビの付く文字列の始まりを特定する記号
(例)お前|達《たち》
/\:二倍の踊り字(「く」を縦に長くしたような形の繰り返し記号)
(例)とう/\
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いつの頃《ころ》でしたか、九州の果の或《ある》海岸に、仙蔵《せんざう》と次郎作《じろさく》といふ二人の漁師がをりました。
或日二人はいつものとほり小さな舟にのつて沖へ漁に出ますと大風が吹いて、とほくへ流されました。けれども運よく舟も沈まず、怪我《けが》もしないで、とある島へ流れつきました。二人はお腹《なか》がすいてゐるものですから、早く人家のあるところへ出て、御飯をたべさして貰《もら》はうと、奥の方へあるいて参りますと、そこに畑があつて、大きな西瓜《すゐくわ》が生《な》つてゐるのを見付けました。ところがその西瓜が仙蔵も次郎作もまだ見たこともない程のものでした。それは酒を拵《こし》らへるときの、大樽《おほだる》ほどもありました。二人は大へん喫驚《びつくり》しました。けれども何しろ、もう一足も歩けぬ程お腹がすいてゐるときで
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