灌木の中へ逃げ込んでしまったのでした。彼は気の弱い、やさしい子だったので、彼の目から涙がぽろぽろとこぼれて来るところを、老人と百姓男とに見られるのがいやだったのです。
『あなたは勝ちましたね、』と彼は言って、まだペガッサスに跨がっているビレラフォンの膝の方へ、嬉しそうに駆け寄りました。『僕、あなたが勝つだろうと思っていた。』
『勝ったよ、君!』と答えて、ビレラフォンは馬からおりました。『しかし、もしも君の信念の助けがなかったら、僕は決してペガッサスを待たなかっただろうし、雲の上へも上れなかっただろうし、またおそるべきカイミアラを退治ることも出来なかっただろう。僕の大好きな小さな友達の君が、みんなやったようなものだ。さていよいよ、ペガッサスを自由にしてやろうじゃないか。』
 そこで彼は、その非凡の馬の頭から、魔法の馬勒をはずしてやりました。
『我がペガッサスよ、永久に、自由になれ!』と彼は叫びましたが、その調子はどことなく悲しそうでした。『お前の速さに負けないくらい自由になれ!』
 しかし、ペガッサスはその頭をビレラフォンの肩に乗せて、何と言って聞かせても、飛んで行こうとはしませんでした
前へ 次へ
全307ページ中299ページ目


小説の先頭へ
文字数選び直し
三宅 幾三郎 の一覧に戻る
作家の選択に戻る
◆作家・作品検索◆
トップページ 登録 ご利用方法 ログイン
携帯用掲示板レンタル
携帯キャッシング