ビレラフォンは前にもこの山を見たことがありました。そして、それは頂《いただき》がペガッサスの住処《すみか》になっているヘリコン山だということが分りました。ペガッサスは、許しを乞うような風に、静かに乗り手の顔を見てから、いよいよその方へ飛んで行きました。そしてそこにおり立ってからも、ビレラフォンが背中からおりてくれるまで、辛抱強く待っていました。そこでその青年は、馬の背中から飛び降りましたが、まだ手綱をしっかりとつかんでいました。しかし、ビレラフォンはペガッサスと目を見かわして、そのおとなしい様子と美しさとに打たれ、それが今まで送って来た自由な生活のことも考えて、もしもペガッサスが本当に、自由を望んでいるならば、こうして手綱でしばっておくに忍びない気がして来ました。
 急に湧いて来た、こうした義侠心に駆られて、ビレラフォンは、魔法のかかった手綱をペガッサスの頭からはずし、くつわも口から取ってやりました。
『ペガッサス、僕を捨てて行け!』と彼は言いました。『僕を捨てて行くか、僕を愛するか、二つに一つだ。』
 その翼のある馬は、ヘリコン山の頂《いただき》から、まっすぐに上の方へ飛んで行って、
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