れば、わしは若い時分に、いつも、そんな馬がいるものと思っていたし、ほかの者もみんなそう思っていましたよ。しかし今では、どう考えていいやらちょっと分らないし、第一、翼のある馬のことなんか、あまり考えもしませんよ。もしもわしがそれを見たことがあったにしても、ずっとずっと前のことだし、それに、本当のことをいうと、実際に見たのかどうかも怪《あや》しいんです。尤も、或る日、まだ極《ご》く若い頃、この泉の岸のまわりに、いくつかの蹄《ひづめ》の跡を見たことは覚えていますよ。それも、ペガッサスの蹄の跡かも知れないし、またほかの馬の蹄の跡かも知れませんがね。』
『そして、美しい娘さん、あなたはペガッサスを見たことはありませんか?』水瓶を頭にのせて、彼等の話を傍で聞いていた娘に、ビレラフォンは尋ねました。『もしも誰か見ることが出来るものとすれば、ぱっちりとした眼をしているあなたが、きっとペガッサスを見そうなものですがねえ。』
『私、いつかペガッサスを見たように思いました、』その娘は、にっこり笑って頬を染めながら答えました。『それはペガッサスだったか、それとも大きな白い鳥だったか知りませんが、とにかくずうっ
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