大きな、いたずらのプリムロウズからでも、小さなダンデライアンからでも、或は又ほかの誰からでも、ちょっとでも邪魔がはいったら、僕はお話を途中で切ってしまって、あとはもう言わないことにするよ。しかし、はじめにちょっと訊いておくが、君達のうちで誰か、ゴーゴンってどんなものだか知ってる人がある?』
『あたし知ってます、』とプリムロウズが言った。
『じゃ黙ってらっしゃい!』とユースタスが言った。彼は寧《むし》ろ彼女がそんなことを知っていない方がよかったと思ったんだが。『みんな黙ってらっしゃい。僕がゴーゴンの首についての、面白い、いいお話をして上げるからね。』
そして彼は、読者が次の頁から読み始められる通りに、話をした。彼は大学二年の学識をもとに、豊富な才気を働かして、アンサン教授のおかげを大いに蒙りながら、しかも彼の空想の奔放な大胆さが命ずる場合には、すべての古い典拠を無視して、話を進めた。
[#改ページ]
ゴーゴンの首
パーシウスは或る王様の娘ダネイの子でした。そしてパーシウスがまだほんの小さな子供の頃、悪い人達が、お母さんと彼とを箱に入れて、海へ流してしまいました。風がいきお
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