置いて、それをお茶屋へ引つぱつてあるけるとでも思つてゐるんだらう。」
「だから困るんです。一人の女を囲つてしまつて、待合入りを止めるやうな大将ぢや無し、又待合入りは、今日実際必要なんですからなあ。」
「実業界の悪い風だ、それが、待合で無きやものの相談が出来ないやうになつてるんだからねえ。しかし、とにかくその間題は破壊しようぢやないか。」
「それや僕もさう思つて居ます。それはさうするとして、遊ぶつて云ふ問題です。」
「いい加減によせばいいになあ。男はよし、金はあるし、実際もてるんだから、無理も無いや。どうもねえ、三十歳前後の細君には一度は危機が来る。松村の細君も今その危機に臨んで居るんだから、ここで余程の注意がいるのだがねえ。」
「ああいつた無邪気な細君ですから、くよくよ思つて居るかと思ふと可哀相でしてねえ。」
「君が後見をするんだねえ、まづ。そこで細君の態度だ。容貌から云つても、智識から云つても、到底対抗は出来ないことは、きまつてゐる。対抗力の無いものが、対抗して行かうとしたつてどうせ勝ちつこは無い。私に云はせればまあかうだ。どこまでも下手に出るんだ。決してりんきらしい様子を見せないで
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