らせる許りである。革命の先覚者たるかの如くに振舞ふ彼女の暴状を見よ、苦《にがにが》しいことだ。
「私は一つお願があります。」彼女は尚饒舌をやめない。
「私はもう覚悟して居ます。此計画を企てた最初から覚悟して居ます。どんな重い罪科《おしおき》になつてもちつとも不満はありません。けれども私以外の多数の人々です。この人達は私共とは何の関係もありません。こんな犯罪計画は多人数を語つて居ては、とても成就することが出来ないものだと、最初から私は気付いて居ました。ほんの四人つ切りの企です。四人つ切りの犯罪です。それを沢山の連累者があるかの様に、検事廷でも予審でもお調べをなされました。それは、全く誤解です。その誤解の為、どれ丈け多数の方々が苦しみましたか、貴方方ももう御存じでいらつしやいます。此人達には年|老《と》つた親もあり、幼い子供もあり、若い妻もあります。何も知らない事でもし殺されると云ふやうなことになりましたら、本人の悲惨は固より、肉親や知友もどれ丈けお上をお怨み致しませうか。私共がこんな計画を企てたばつかりに、罪のない人が殺される。そんな、不都合な結果を見るやうになりますと、私は……。私は…
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