しております。あの美しい、しかも丈夫な紙の生産も一つには確かにこの雪の賜物でございます。
 かの四、五月の頃信濃川下流のその沿岸沖積地に、まったく目の醒めるばかりの美しいチューリップの花畑を展開させておりますのも、確かにあそこの多雪の影響であります。信越国境方面は別としまして、割合に雪の浅いわがこの信州にしましたところで、そこが日陰で、冬中雪に被われているような場所に作られたチューリップはとくによく育ち、もちろん美しい花を咲かせますことや、また本年のようにとくに雪の深かった年において、不幸にして親竹は寒凍害を蒙ったが、その代り、筍は例年になくたくさん出たというような例を私は各所で見聞いたしておりますが、すべては雪の働きと申さなくてはなりません。ところがもしもこの雪をわざわざ降らせるとしたら、それこそ大事業で、もちろん不可能なことでございましょう。
 物でも人でもそうでありますが、単にその半面、しかも害的半面、すなわち短所のみを見るのは職工気分だと申されております。私どもはできるだけその長所を認め、長所を発揮させることのできるように努力いたし、常に人間らしい、言い換えますと、「長官気質」
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