き通す地方であるという、それを見逃してはならない、無視してはならないと存じます。風のために割合に蚕、とくに夏秋蚕についてでありますが、それが飼いよいこと、もちろん、その折角の風を蚕室に入れるように工夫しなくてはだめでありますが、それだけでなく、あの恐ろしい※[#「郷/虫」の「即のへん」に代えて「皀」、第4水準2−87−90]蛆の蝿が、風の強い所の畑の桑の葉には卵を産み付けることの少ないこと、また、常に相当の風のあることが葉そのものを充実させ、その飼料的価値を高めること等、風の効果はきわめて大きいのでございます。もちろん強過ぎる風は困りますが、しかし考えて見ていただけば容易にお判りになることでございます通り、その風を防ぐことは、いわば防風林の施設等でそう大した費用もかけずにできるのでありますが、万一あの風をわざわざ夜となく昼となく吹かせるとしたならば、並大抵の資金でできることではございますまい。
雪にしてもその通りでございます。今でもこの木曾の開田村方面では実行されているとのことでございますが、かの麻布を晒すために、また、飯山地方ではあの紙の原料である楮の皮を晒すのにそこの雪を利用いた
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