が完全に捕獲いたしますれば、すなわち、それができますれば、一坪に対して三人ずつの人が生活でき得るわけでございます。したがって、その暁には日本の土地が狭いの、人口が多いのという心配は当然解消されてしまうわけでもあります。私はこの「熱量捕獲」ということを、土地利用の根本問題と考えているのでございます。そうして、その捕獲としましては、おそらく今日のところでは、「地表の緑化」、すなわちできるだけ植物を繁茂させ、その葉緑素の力を借りることによりほかに良案は考えられておらないようでございます。いかに市場での相場がよいからといって、まことに不適当な土地に、ひょろひょろしたような貧弱な小麦を、しかも凍寒害を蒙って禿頭病にかかったような麦畑を耕作しておりますよりも、少し極端な言い分かは存じませんが、真青に草でも繁らかしておく方がより利用度は高いわけであります。もちろん、その草の中には直接食物として、あるいは工芸の原料として使用できないものも決して少なくはございません。しかしそれを、ありがたいことにはそこへ動物を配することによって、それらは動物の飼料として役立ち、その動物の乳なり、肉なり、力なりとしてどの
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