翌年の早漬大根の出るよりやや少し以前に市場へ出すようにするということが、ほんとうではないかと考えるのでございます。
 それを一日でも早く市場へ出そうという考えから、長日性である大根を、すでに五月上旬頃から播き付け、もちろん抽薹しますが、抽薹すれば、わざわざその薹軸を折り取り、なおかつ硬化したその大根の上部をも切取って、漬け込むといったような、いかにも無理の籠った産業は、私は遺憾ながら、それを安全な産業として賛成し奨励申上げることができないのでございます。どうしても、真の土地利用だとは思われないのであります。
 そもそも「土地利用」としましては、その根本的問題といたしましては、毎日その土地へ太陽から送られる熱や光を初め、その他いろいろのエネルギーをできる限り完全にキャッチするということであろうと考えているのでございます。この付近といたしましては、年々かの太陽から送られる熱量は、約六〇〇万カロリーと申されております。そうして、これに対しまして、われわれがその生活のために要する熱量は、年々一人平均約二〇〇万カロリーあればよいといわれております。でありますから、その一坪へ送られる熱量をわれわれ
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