、天竜川の両側のように、さらにその各段が、また幾つにも細かく分かれている処もございます。とにかくいずれも地盤の隆起や沈降と、それに伴う浸蝕や堆積の結果として現れたものでございます。さらにまた、古い地形の処では、かの山の尾根の、その傾斜の角度の変化の上にも現れて来ております。あまり専門にわたりますから略しますが、こういった地盤の変動や河川の働きによって、もちろんこのほかいろいろの働きも手伝ってはおりますが、私どものこんにち目の前に見ておりますような地形ができているのでございますが、私どもはその地形の発達程度によりまして、それを幼年期、壮年期、老年期の三つに分けております。
そうしてもし、こういった地形の処へ道路をあけるとしましたならば、それぞれその地形の幼・壮・老によって、そのあける場所がほぼ定まっているのであります。それは、幼年期の地形の場所では、道路はそこの尾根部に開かれるのが普通であります。もっとも尾根部といっても、幼年期の地形では谷はごく狭く、そこの谷底はほとんど全部河床となっており、両岸もまた絶壁に近いような急斜面であるのに、かえって尾根部には広い平坦面さえ持っているからであ
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