でございます。また地質的には水成岩の地方よりもとくに花崗岩系、すなわち深成岩系の地域の方がより大きく隆起しつつあるようにも見えます。いったい、深成岩そのものが地表に現れているというのが、すでにそこの隆起、そうして、それに伴って働いて行くところの浸蝕の結果を実証しているわけでもございます。
 こういった、隆起に伴われて浸蝕されて行くことを、地形学上からは「回春」または「若返り」と呼んでおります。そうして、この回春現象は、まずその地方の河底部に現れて参ります。河の下流から河身に沿って、そこの河床部の次第に高まって行くその行き方を調べて見ますと、遷急点といって、ある地点だけがとくにその高まり方が急になっている処がございます。そういった遷急点が、その河身の中に幾ヶ所あるかということで、だいたいその地方の回春の因数を決定することもできます。わがこの信州の中だけでは、どの河にも二、三ヶ所、とくにその明瞭な処が現れております。
 またそういった回春現象は、ひとり河だけではなく、そこの河の両岸に、かの段丘地形となって現れて来ております。したがって、これもまた、大きくは二、三段に区別することができますが
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