云うに、今しも不意に一つの巨大《おおき》な流星が空中に現われ、青い光は東から西へ人魂《ひとだま》の如く飛んで、彼《か》の梟の鳴いて居る森林の辺でスーと消えて仕舞ったのを見たからだ。
「マア何んと云う巨大《おおき》な流星でしょう」と、一番目の娘も二番目の娘も眼《め》を円くして叫んだ。
すると之れを見た伯爵は、忽《たちま》ち何か考え出した様子で、
「オオ、面白い試験方法が胸に浮んだ」
「何んな試験方法です」
「他《ほか》でも無い、あの流星と云うものは何んだか気味の悪いもので、それが落ちたと覚《おぼ》しき場所へは、余程の勇士でも其夜《そのよ》直《す》ぐに行くのは厭《いや》がると云う、爾《そう》して昔からの口碑《いいつたえ》にも、流星の消えた場所には何か不思議な物が落ちて居ると云われて居る、夫れは本当か嘘《うそ》か分らぬが、兎に角今あの淋《さび》しい森林の中へは流星が落ちた、和女《そなた》等《ら》は未《ま》だあの森林の中へ入った事はあるまいが、随分変った場所だから、誰でも今夜あの森林を一番奥まで探検して、果して其様《そん》な不思議な物が落ちて居るか否か、最も正確に林中の模様を私《わし》に報告
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