》して墜落《ついらく》させてしまふのだ。そして、相手《あひて》の鳥《とり》が下《した》の方《ほう》へとだんだん小《ちひ》さくなつて墜《お》ちてゆき、見《み》えなくなつてしまふと、その時《とき》こそ得意《とくい》さうに羽《はね》を反《そ》らして、カラカラと空《そら》のまん中《なか》で、笑《わら》ふのだつた。けれどもあのヱヴェレストの頂上《てうじやう》だけは、見上《みあ》げたゞけでも目《め》が眩《くら》んで、何度《なんど》もそこまで飛《と》んで見《み》ようとしては、半分《はんぶん》もゆかないうちに、疲《つか》れてしまつたラランはゾグゾクしながら、その度《たび》に羽《はね》を縮《ちぢ》めて残念《ざんねん》さうに顔《かほ》をしかめるのだつた。
『癪《しやく》にさわるけれど、誰《だれ》か仲間《なかま》を誘《さそ》つてやらう。仲間《なかま》と飛《と》ぶなら楽《らく》なもんだ、何《なに》か饒舌《しやべ》つてるうちには着《つ》くだらうし。』
柄《がら》にもなくこんなことを考《かんが》えて、西蔵《チベット》に棲《す》んでる仲間《なかま》の鴉《からす》を一々《いちいち》たづねて話《はな》したが、皆《みん
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