な》は日頃《ひごろ》ラランの悪知慧《わるぢえ》をよく知《し》つてゐるので、誰《だれ》も一緒《いつしよ》に飛《と》ばうとするものがなかつた。ラランは不気嫌《ふきげん》だつた。ヱヴェレスト位《くらゐ》がなんだといふ顔付《かほつき》で、皆《みんな》を馬鹿《ばか》にしたやうに唾《つば》をやたらに吐《は》くのだつた。すると一|番《ばん》最後《さいご》にペンペといふ何《なに》も知《し》らない若《わか》い鴉《からす》が出《で》てきて『そいつはおもしろいな、ヱヴェレストのてつぺんまでは大飛行《だいひかう》だ。僕《ぼく》は大賛成《だいさんせい》だ。ラランよ。僕《ぼく》でも大丈夫《だいじやうぶ》か。』
『そりや心配《しんぱい》無用《むよう》だ。ではすぐにでも出発《しゆつぱつ》しようか。』
 ラランはかう答《こた》へるや否《いな》や、もう、羽《はね》をひろげた。ほかの鴉《からす》たちはペンペを馬鹿《ばか》なやつだと思《おも》ひながらもヱヴェレストの頂上《てうじやう》目指《めざ》して飛《と》びだす元気《げんき》に打《う》たれた。ラランに続《つづ》いてペンペがサッと密林《みつりん》の上《うへ》に飛《と》び出《だ
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