つはオベッカ者だからとかあいつはウソ[#「ウソ」に傍点]吐《つ》きだとかいって、口も利《き》かぬ。そんなことをいった日には世間が狭《せま》くなるばかりだから一つ気を大きく持たせるべし。

(5)[#「(5)」は縦中横] 頭のよすぎる夫
 どうせ見透《みすか》され尽《つく》すのですから、なまじい夫に対する心のつくりかざりをせず、正直に無邪気《むじゃき》にともに暮《くら》すべし。

(6)[#「(6)」は縦中横] 交際|下手《べた》な夫
 交際下手な夫を持った妻は、相手の人が夫の気象《きしょう》を呑《の》み込むまで、妻自身がまめまめしく客にかしずき、その場の調和をたもつこと。

(7)[#「(7)」は縦中横] 学者肌の夫
 学者は日常他人に教示《きょうじ》する癖《くせ》をもって暮《くら》す。その気持ちのリズムに添《そ》うて、暮さなければ夫の心情《しんじょう》を荒らす。妻も大方《おおかた》のことは生徒になりたる態度をもって、夫に対侍《たいじ》すべし。

(8)[#「(8)」は縦中横] 親や親類と折合《おりあい》の悪い夫
 いっそ親や親類に悪く云《い》われても仕方がない。まあなるたけ主人の気の
前へ 次へ
全8ページ中4ページ目


小説の先頭へ
文字数選び直し
岡本 かの子 の一覧に戻る
作家の選択に戻る
◆作家・作品検索◆
トップページ 登録 ご利用方法 ログイン
携帯用掲示板レンタル
携帯キャッシング