良人教育十四種
岡本かの子
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【テキスト中に現れる記号について】
《》:ルビ
(例)黙《だま》り
|:ルビの付く文字列の始まりを特定する記号
(例)妻自身|確信《かくしん》と
[#]:入力者注 主に外字の説明や、傍点の位置の指定
(例)(1)[#「(1)」は縦中横]
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(1)[#「(1)」は縦中横] 気むずかしい夫
何が気に入らないのか、黙《だま》りこくってむっつりしている。訊《き》いてもいっては呉《く》れないで、渋《しぶ》い顔をするばかり。従《したが》って家内《いえ》中で腫《はれ》ものにでも触るような態度を取り、そばを歩くに、足音さえも窃《ぬす》むようになる。こういう性質は神経衰弱その他生理的な病気が伏在《ふくざい》している為《た》めに来ることもあれば、当人の我儘《わがまま》から来ることもある。病気なれば気の毒、早速《さっそく》医者の手にかかるがいいが、もし我儘だったらあんまり卑屈《ひくつ》にへいへいしていると、却《かえ》って増長《ぞうちょう》させていけない。正しいことは相当主張し、快闊《かいかつ》に、はたからその不機嫌を吹き散らしてしまうがいい。不機嫌は当人も持
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