てあましているのだから、はたからのひょっとした誘いで気が取直《とりなお》せ、当人も助かることがある。
(2)[#「(2)」は縦中横] 短気な夫
しじゅうイライラ[#「イライラ」に傍点]してちょっとのことにカンシャク[#「カンシャク」に傍点]を起《おこ》す。この性質に二つある。外では猫のようにおとなしく言うべきことも胸に畳《たた》み、そのシコリを家へ持越《もちこ》して爆発させるものと、もう一つはどこでも短気でカンシャク[#「カンシャク」に傍点]を起すのとである。前の方のは臆病《おくびょう》で気の毒な性質の人ゆえ、まあまあ我慢《がまん》して家でカンシャク[#「カンシャク」に傍点]を起さしてやるのが愛だが、後のは持前《もちまえ》の性質ゆえ修養《しゅうよう》とか信仰とかを勧めて、根本的に直すのが愛である。一《いっ》たい短気な人は速力《スピード》が気に入るのだから何でも手っ取り早く先手を打って、先に望むことをしてやれば悦《よろこ》ぶものだ。
(3)[#「(3)」は縦中横] 病身《びょうしん》な夫
痼疾《こしつ》のあるのは別だが、そうでなくて年中あっちが悪い、こっちが悪いとぐずぐずしている
前へ
次へ
全8ページ中2ページ目
小説の先頭へ
文字数選び直し
岡本 かの子 の一覧に戻る
作家の選択に戻る
◆作家・作品検索◆
トップページ
登録
ご利用方法
ログイン
携帯用掲示板レンタル
携帯キャッシング