人がある。多くは神経質で思い過《すご》しの人に多い。一《いっ》しょになって心配してやらねば不親切だといってヒガ[#「ヒガ」に傍点]むし、そうかといって心配すればキリ[#「キリ」に傍点]が無《な》いし、仕末《しまつ》に悪い。心機一転《しんきいってん》ということもあるから、朗《たから》かに奮闘《ふんとう》的な気持ちになれるよう、思い切って生活を革新《かくしん》するとか、強い刺撃《しげき》を与えて心境を変化させるとか、妻自身|確信《かくしん》と元気を持って助勢《じょせい》するがいい。

(4)[#「(4)」は縦中横] 潔癖《けっぺき》な夫
 硝子《ガラス》窓がちょっと曇《くも》っていても気にし、障子《しょうじ》のサン[#「サン」に傍点]にホコリ[#「ホコリ」に傍点]が溜《たま》ってやしないかと、指の腹で擦《こす》ってみる。ひどいのになると一日に五六度オキシフルか、昇汞水《しょうこうすい》で手を消毒しないと、落付《おちつ》いて仕事が出来《でき》ぬというようなのがある。悪いことではないが兎《と》に角《かく》うるさい。また精神上の潔癖家として無暗《むやみ》に人を毛嫌《けぎら》いするものもある。あい
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