水無瀬女から何代か数知れぬ継承の間に、宗家は衰え派出した分家、また分家の方が栄えた。どういうわけであろう。界隈の昇華した名家々々の流れを相互に婚姻を交えている間に、家の人間に土より生い立てる本能の慾望を欠き、夢以外に食慾が持てない咀嚼力の精神になってしまったのも原因の一つであろう。この女も人情のことは何でも判っていて、あまり判り過ぎるが故に、男に興味が持てなくなったという側の女となってしまっていた。
 ところがこの頃、湧玉の水のほとりで、度び度び遇う男は、女の醒めたものを攪乱する野太く、血熱いものを持っている。下品で嫌だなと思いながら、無ければ寂しい気がする。そして興味を牽いて救われるのは、その男が唖者のように表現の途を得ないで、いろいろに感情の内爆や側爆のこういう所作をすることである。
 それから後も、男は、得意の弓矢の業をもって、麓に住む荒い獣を半殺しの程度にして狩り取り、湧玉の水のほとりに待受けていて、女を見ると、屠《ほふ》り殺した。
 小牛ほどの熊を引ずって来て、それに掌で搏たれ、爪で掻れながら彼は、組打ち、小剣で腹を截り裂いた。截り裂くと同時に、彼は顔をぐわと、腹の腑の中に埋
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