うがさ》をさすと同じ様にしています。
一平 つまり新しいという事を使用しているんだね。丁度《ちょうど》円太郎《えんたろう》自働車《じどうしゃ》の様に使用しているんだ。
かの子 そうです。
一平 電気の様に内容は分《わか》らなくても使用するだけの能力はあるんだ。
かの子 便利だからですね。
一平 僕はあの小説を読むと描き方はやわらかく感じるが、あの女は格別《かくべつ》新しいとは思わないね。
かの子 ただ何となく垢抜《あかぬ》けした感じがします。あれは散々《さんざん》今の新しさが使用し尽《つく》された後のレベルから今|一《いち》だん洗練を経《へ》た後に生《うま》れた女です。格別の新しがらなくとも新《あた》らしい智識《ちしき》の洗礼を受けたのちの彼女|等《ら》の素直さと女らしい愛らしさと皓潔《こうけつ》な放胆《ほうたん》がぎすぎすした理窟《りくつ》や気障《きざ》な特別な新らしがりより新らしいのでしょう。
一平 昔の新しい女は勇気はあったが、垢抜けしていなかった。どこか自然主義かリアリズムだった。ではこれからの女は今までの新らしさを土台にして垢抜けすることが一特色になるのかね。
かの子 宜《よ
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