新時代女性問答
岡本かの子

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【テキスト中に現れる記号について】

《》:ルビ
(例)兎《と》に角《かく》

|:ルビの付く文字列の始まりを特定する記号
(例)ここの所|一寸《ちょっと》

[#]:入力者注 主に外字の説明や、傍点の位置の指定
(例)地《じ》べた[#「べた」に傍点]
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一平 兎《と》に角《かく》、近代の女性は型がなくなった様《よう》だね。
かの子 形の上でですか、心の上でですか。
一平 つまり、心構《こころがま》えの上でさ。昔で云《い》えば新しい女とかいうようにさ。
かの子 特別な型はなくなりましたね。たとえば青踏《せいとう》時代の様に。
一平 つまり今の新しい女はそんな詩的な概念《がいねん》でなく、もっと実質的に入ったんだろう。
かの子 詩的概念を表現する様になったとでも云いましょうか。いえ詩的概念という言葉はあてはまりませんね。
一平 それは空想だろう。
かの子 いいえ、理想ですよ。
一平 要するに実質的になったんだね。
かの子 実質的とは。
一平 たとえば社会的のある理想を持つとすれば、すぐ社会運動に即《そく》するし、芸術的モーションを抱いてる人は芸術
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