品を持ったり他の事業でも真摯《しんし》な地歩《ちほ》をかためて居《い》る女性以外には装飾《そうしょく》的な表皮《うわべ》の感情は多くひらめかして居ても本質的な真面目な熱情や感情が浅薄《せんぱく》です。或《ある》種の文学少女などことに。
一平 それは僕も同感だね。所《ところ》で西洋の文学上で近代的な女というのはどんなだい。それ何とかいう西班牙《スペイン》の無政府主義者の女ね。あれなんかどうだい。
かの子 ポール・モーランの「カタロオニュの夜」の中に現われるルメジオスですか。
一平 あれだってつまり、内容はツラディショナルな女の上に近代の主義主張をかぶせた種類の女を発見しただけなんだね。
かの子 いえ、あれは非常に垢抜《あかぬけ》した女だと思いますね。それから「トルコの夜」のヒロインはなお、とても現代の日本の女の常識的な新味はあれに較《くら》べることが出来《でき》ません。兎《と》に角《かく》現代では新しいという事が概念《がいねん》になり常識になったから少しも新しくはありません。
一平 それは実質的になったんだ。
かの子 そうです。新しい事を草履《ぞうり》を穿《は》く様《よう》にまた洋傘《よ
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